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HIDとはハイ・インテンシティ・ディスチャージ・ランプの略。一般的なヘッドライトに使われるフィラメントバルブの場合には、フィラメントに電気を通し加熱発光するため、明るさを求めると熱でフィラメントが切れ易くなってしまう欠点を持つ。これに対してHIDは、フィラメントを持たない一種のアーク放電灯のようなシステムが特徴だ。
仕組みとしては、まず直流12Vの電圧を交流に変換し、これを瞬間的に2万V前後までに昇圧。バルブにあたるバーナー内で絶縁破壊を起して放電させ、この放電の明るさを光源にしている。簡単にイメージしてもらうと、エンジンに使われるスパークプラグの中心電極と外側電極の間で飛ぶ火花と同じようなものだ。普通のフィラメントバルブとは異なり、コントローラーやバラストなどと呼ばれる、直流を交流に変換し、安定して電圧を供給する安定器。高電圧パルスを発生させるイグナイター。バルブに当たる専用のバーナーがHIDの基本構成となる。
(イラスト:よこいなおと)
H4バルブ(上)とHIDのバーナー(下)の比較。発光部、ステー部ともに大きいため、取り付けの際にはスペースの有無が重要になる。
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一般的な標準装備のハロゲンランプに比べ、高効率バルブは内部構造や封入ガスの効率化などにより、同じ消費電力で大幅に明るさをアップしている。しかしHIDの場合には特徴でもある光束量の多さから圧倒的な光源を発揮する。しかもバーナー自体にはフィラメントが無いので、一般的なフィラメントバルブにあるフィラメント切れの寿命がない。フィラメント切れはフィラメント自体の経年変化や振動によって起こるのだが、こういった心配も皆無。
明るさに対して消費電力が少ないと言うのもHIDの大きな特徴だ。明るさの分だけ電気も余計に食いそうなイメージだが、実際にはバーナーの絶縁破壊させる際に点灯時には高電圧をかけるが、これは一瞬なのでほとんど電力を消費しない。さらに光色が安定するまでの数秒間はハロゲンランプ並に消費するが、安定後は35W程度しか電力を消費しない。一般的なハロゲンランプが55Wなので半分強程度ということになる。最近のバイクは常時点灯や電子部品の増加などバッテリー負担が大きいだけに、消費電力の低さはバッテリーライフにも影響する。初期投資の費用はかかるが、長い目で見ると経済的なメリットも大きいのだ。
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明るさの単位には色々あって複雑だが、大きく分類するならばライトの光源としての明るさ=ルーメン(lm)、照らされる部分の明るさ=ルクス(lx)、光源の色温度=ケルビン(K)の三種類に分けられる。中でも見た目の差になるのがケルビンで、低ければ赤く、高ければ青くなる。一般的なハロゲンランプは、だいたい3500Kぐらいだ。高ケルビンは透明感が強く、光源としての明るさを得られるものの、照射される部分の明るさが落ちる傾向があり、また雨や霧などの状態では明るさが減衰。また対向車の幻惑にもつながるので、最近では3000〜6000Kあたりの商品が主流レンジになっている。
(資料協力:ヤングマシン 解説:牧田哲朗)
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HIDの装着でもっとも注意するのは配線の取り回しです。直流12V電流を数万ボルトに昇圧する構造のHIDでは、配線の損傷が故障や発火等の深刻なトラブルを招きやすいのです。パッセージでは各車に応じた最適なフィッティングの為に外装はもとより、極力分解作業を実施しています。CBF600Sの場合は、カウリング・タンク・シート&シートカウル、各種カバーラバーまでほぼ全てを一度外してしまいます。その状態から、イグナイターとバラストの搭載位置を決定し、配線を通していきます。カプラーが通らない場合はそのための加工を行いますが、あくまでスマートで美しく行います。また、発熱するバラストは熱影響のでない部位を厳選して取り付けます。場合によっては、配線に皮膜を施し、耐久性と美しさをもたらしていきます。
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レーサーレプリカの少ない車体容量下では取り付けのセンスが問われます。ファイアーブレードのタンクカバー裏は熱の影響が無く、振動も問題ありません。この部分にイグナイターを装着し、バラストはタンデムシート下の小物入れに置きます。これなら、小物入れを塞いでしまうことがありません。
ハーフカウルがあるSは比較的簡単に取り付けできます。ここでは、まるで純正配線のような美しさにこだわりました。イグナイターをカウル内側上面に隠し、バラストはシート下の配置となります。
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